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「年金」報道に反論 「給付50%割り込む」は誤解
2009/06/05


安定した運用へ出生率
回復と経済対策が重要

 公明党ホームページで配信中のウェブTV「お答えします」では、坂口力副代表が年金制度をめぐる報道について反論している。要旨は次の通り。

Q 年金財政について発表された厚生労働省の試算とは。

A 年金財政は5年ごとに検証することが義務付けられています。それに従って年齢別や所得別に見ると、年金財政は順調に経過しています。

Q 公約の「現役世代の平均収入の50%維持」は崩れたのか。

A それは誤解です。2004年の年金改革では、若い頃の収入が少ない人は50%より高い率で年金を受け取り、収入が高い人は50%よりも低くなると設計しています。今回マスコミは、収入の高い人だけを取り上げて50%を下回ったと報じていますが、高収入者の年金が低くなるのは制度設計通り。公約が崩れたわけではありません。

Q モデル世帯(夫がサラリーマンで40年勤務。妻は専業主婦)以外の共働き世帯や単身世帯では、40%以下との批判もあるが。

A 世帯1人当たりの所得が同じであれば、共働き世帯も単身世帯も所得代替率(その時々の現役世代が受け取る平均手取り賃金の何%もらえるか)は同じです。
 例えば月収が夫婦で80万円の場合、現在の代替率は43.7%。50年には36.6%に下がります。しかし年金額は、現在の1人当たり15.8万円から23.2万円に上がります。逆に月収25万円の共働き世帯の場合、現在の代替率は78%。50年になっても61.6%と、決して50%を割ることはありません。
 若いころの所得が、平均よりも多かったか少なかったかによって、年金に置き換える数値が変わるのです。マスコミは所得の高い人だけを見て、50%を割り込むと言っていますが、全体を見ればきちんと整合性がとれるようになっています。

Q 「モデル世帯」が実態に即していないとの批判もあるが。

A 共働きが増えていることは事実です。しかし半数以上の家庭では、妻はパートや短時間労働者で、年金は「3号被保険者」で夫の年金のカサの下に入っています。

Q そもそも04年の年金改革のポイントは。

A 保険料負担の上限を18.3%と定め、国民の負担に歯止めをかけました。また標準的な年金を受け取る世帯は、現役平均収入の50%以上を確保しました。当時は5年ごとに保険料が引き上げられたりして、国民に不満がありました。そこで少子高齢化の進展、経済成長なども踏まえて長期的な見通しを立て、安定して運用できる年金制度を確立したのです。

Q 安定した年金制度の維持へ必要条件は。

A 一つは合計特殊出生率の回復です。現在、1人の女性から生まれてくる子どもの数は1.34人(07年)となっています。これを50年には1.39人以上に上げたい。今後の少子化対策が重要です。
 実質賃金を毎年1%上げていくことも大事です。そのためには実質経済成長率を0.8%以上にすることが必要です。

Q 基礎年金の国庫負担割合を2分の1へ引き上げる問題は。

A すでに成立した09年度予算に盛り込まれています。ただ関連法案が参院で審議中です。野党は反対していますが、国民との約束を果たさなければなりません。財源は年間2兆7000億円かかるので、09、10年の2年間は財政投融資特別会計から充てることにしました。11年以降は税制改正を行って対応することにしています。

<公明新聞:2009年6月4日付>

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